タイヤ

【徹底解説】これでわかる!建設車両用タイヤ(ORタイヤ)について

日々建設車両用タイヤを業務で取り扱っている私が、建設車両用タイヤについて詳しく解説していこうと思います。

「建設車両用タイヤに関わることになったけど、誰も教えてくれない…」と途方にくれた方の助けになればと思います。

建設車両用タイヤとは

建設車両用タイヤは、現場ではOff The Roadの頭文字からORタイヤと呼ばれています。

ダンプトラック・ショベルローダー・モーターグレーダー・タイヤローラー・ホイールクレーン等の建設車両に使用されている特殊なタイヤです。

これらの車両が使用される路面は、Off The Roadの名前の通り、砕石地・岩盤地・軟弱地など多岐にわたります。

そのためORタイヤには基本性能【4大機能】に加え、要求される使用条件やタイヤの特性により、様々な種類が用意されています。

使用条件にあったORタイヤを使用しましょう。

  • タイヤの基本性能【4大機能】
    • 車両の重量を支える     :負荷荷重性能
    • 駆動力・制動力を路面に伝える:牽引・ブレーキ性能
    • 路面からの衝撃を緩和する  :乗り心地性能
    • 両の方向を緩和する     :操縦・安定性能
  • 使用条件からの要求性能
    • 耐摩耗性 :全現場
    • 耐カット性:鉱山・砕石場
    • 耐熱性  :ダム建設・宅地造成
    • 牽引力  :宅地造成・港湾工事
    • 浮力   :宅地造成・ゴルフ場建設
    • 接地圧  :道路工事
  • タイヤの特性
    • 構造
    • 形状
    • トレッドパターン
    • トレッドゴム質

建設車両用タイヤの規格と分類

下図のように、ORタイヤはJIS規格に分類が規定されています。

運用はJATMA(日本自動車タイヤ協会)YEAR BOOKの規定で行われ、海外ではTRA YEAR BOOK(アメリカ)、ETRTO(欧州)に、JATMAとほぼ同様の規定があります。

この分類の中に、さらにトレッドタイプ(溝深さ+パタン形状)が分類されていて、使用条件に適合させたタイヤの選択をします。

分類別・サイズごとに空気圧と負荷能力の関係が規定されているため、この規定に従って使用する必要があります。

https://dcadprod.azureedge.net/b2c-experience-production/attachments/cl08vpqc70q6v01ki36690uzm-earthmover-catalog-2022.pdf

用途別コード

https://dcadprod.azureedge.net/b2c-experience-production/attachments/cl08vpqc70q6v01ki36690uzm-earthmover-catalog-2022.pdf

ミシュランのタイヤパターン例

production/attachments/cl08vpqc70q6v01ki36690uzm-earthmover-catalog-2022.pdf
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トレッド深さによる分類

https://dcadprod.azureedge.net/b2c-experience-production/attachments/cl08vpqc70q6v01ki36690uzm-earthmover-catalog-2022.pdf

ブリヂストンの表示法

https://tire.bridgestone.co.jp/specialty_tires/construction/usefull/select/index.html
https://tire.bridgestone.co.jp/specialty_tires/construction/usefull/select/index.html

建設車両用タイヤの呼び方

ORタイヤの呼び(サイズ表示)は、タイヤ幅およびリム径をインチで表示するインチサイズ、タイヤ幅をミリメートルで表し偏平率を表示するメトリックサイズ、タイヤ幅をインチで表し偏平率も表示するものや特別な表示方法のもの等、タイヤの偏平率により使い分けられています。

下図を例にすると、①20.5-25 16PRがワイドベース、②23.5R25 ☆☆がレギュラー、③385/95R25 170Eがメトリック、④42×17-20 10PRがスーパーワイドベース、⑤35/65-33 24PRが65シリーズと種類分けされています。

https://www.y-yokohama.com/product/or-idtire/sizelist_display/

チューブタイプとチューブレスタイプ

ORタイヤには、チューブタイプとチューブレスタイヤが存在します。

リム径25Inch超のサイズは殆どがチューブレスタイヤですが、リム径25inch以下のサイズではチューブタイヤが数多く存在します。

チューブタイプはW/T、チューブレスタイプはT/Lと表示されることがあります。

チューブタイプ(W/T)は、タイヤ内に挿入したチューブに空気を充填して使用します。チューブ・フラップが必要なため、部品点数が多い(1ピースホイールではフラップは不要)です。

チューブレスタイプ(T/L)は、タイヤ内面にインナーライナーと呼ぶ気密性の高いゴム層を持つタイヤです。最近はチューブレスが主流となっているホイールの気密性保持のため、O(オー)リングを使用(1ピースホイールでは不要)します。

下図はORタイヤの構造ではないためOリングがなかったり、バルブ形状が異なりますが基本的には同じです。

https://www.goodyear.co.jp/knowledge/tubeless.html

空気圧と負荷能力

ORタイヤは、規格分類種別・サイズ別に、空気圧とこれに対応した最大負荷能力が規定されているので、これを超えて使用してはいけません。

また、プライレーティング・スターレーティング別に最高空気圧および最大負荷荷重が規定されており、これを超えて使用してはいけません。

ラジアルタイヤとバイアスタイヤ

基本構造は同じでも、タイヤ全体を形作るカーカス(骨格)のコードの配置方法の違いによって、タイヤは「ラジアルタイヤ」と「バイアスタイヤ」という2つのタイヤに分ける事ができます。

「バイアス構造」は空気入りタイヤが初めてできた時の構造で、「ラジアル構造」はそれから約60年後に発明された構造です。

ラジアルタイヤの方がより高い性能と経済的に優れる為、現在ではほとんどの乗用車用のタイヤはラジアルタイヤになっています。

しかし、「バイアス構造」は比較的製造方法が容易というメリットがあるため、ORタイヤでは今でも使用されています。

ラジアルタイヤの構造と各部の名称と特徴

https://tire.bridgestone.co.jp/specialty_tires/construction/usefull/select/index.html
https://www.goodyear.co.jp/knowledge/radial_bias.html

バイアスタイヤの構造

https://www.goodyear.co.jp/knowledge/radial_bias.html

ラジアルタイヤとバイアスタイヤのメリット

https://www.goodyear.co.jp/knowledge/radial_bias.html

タイヤSPEC選定について

ORタイヤを選ぶ際は、①作業条件、②要求特性、③走行中車両の品質、の3つの情報をもとにタイヤSPECを選定しましょう。

  • 作業条件の要素
    • 車両速度
    • 荷重
    • 路面状況(軟弱or岩盤)
    • 走行路の勾配
    • 鉱物種
    • 原石の大きさ・鋭利さ
  • 要求特性の要素
    • 発熱性
    • 耐カット性
    • 耐摩耗性
    • ケース耐久性
    • トラクション性・浮力
  • 走行中車両の品質の要素
    • 廃品の状況(完全摩耗or途中故障)
    • 故障の状況
    • タイヤの外観
  • タイヤSPEC決定の要素
    • タイヤ種(ラジアルorバイアス)
    • タイヤサイズ/PR
    • 溝深さ
    • パターン
    • トレッドゴム質
    • 構造
ABOUT ME
まるゆう
大学卒業後、製造系の大手企業に4年間勤め、家業に入社し3年目、2022年で30歳を迎える独身男性。 家業は地方でタイヤ販売サービスを従業員15名以下、年商3億円ほどの規模で行う。 男3兄弟の長男として生まれたが、親からは「好きなように生きてくれていい(家業を無理に継ぐ必要はない)」と進路についてうるさく言われず育つ。